~”ボタニカルライト”から考える合理的な選択とは~、カフェゼミ#61参加記録

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皆さんこんにちは。橋本ゼミ11期生の三宅央二郎です。

2024年6月27日(木)、渋谷ヒカリエの8階で、法政大学長岡研究室が開催する「カフェゼミ#61~サステナブルな挑戦者のキャリア・ストーリーを聞こう~」に参加しました。

私は今回、3回目のカフェゼミの参加でした。

1回目

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2回目

”超福祉”から考える『アタリマエ』の見直しと『自分の強み』の捉え方 カフェゼミ#59参加記録
11月30日(木)、渋谷ヒカリエ8階において、法政大学長岡研究室による「カフェゼミ#59」が開催されました。 私は今回、2回目の参加として、カフェゼミに参加させていただきました。 前回の模様はこちらから↓ 今回のテーマは「みんなでダイバーシ...

気付けばカフェゼミも3回目ですが、やはり、ユニークなゲスト講師によるキャリア・ストーリーの面白さや、自分とは違う境遇の方々とディスカッションをすることで得られる刺激が魅力で、何度でも来たくなるようなイベントだと思いました。

今回も、その参加記録と、自分が考えたことについて、まとめさせていただきたいと思います。

1.ゲスト講師の大塚淳一さん

今回のカフェゼミのゲスト講師は、「株式会社グリーンディスプレイ」の大塚淳一さんです。

「株式会社グリーンディスプレイ」は、植物を用いた室内外の環境や空間を演出する「植栽演出」事業と、季節催事の装飾・演出を行う「季節装飾」事業の二つを主軸に行っている会社です。
オフィスや部屋の中に、植物が植えられていたり、壁一面が植物に覆われている「壁面緑化」というのを見たことがあるかと思います。それらの設計・施工・管理を行い、空間に心地よさを演出している会社となります。

株式会社グリーンディスプレイ|植物を用いてオフィスや商空間をグリーン溢れる空間にデザイン
株式会社グリーンディスプレイは、植物を用いて商空間をデザインいたします。オフィスや公共施設のグリーンコーディネイトから空間デザイン,商空間プロデュース,季節のデコレーションや装飾,イルミネーションまで日本全国承ります。

その「株式会社グリーンディスプレイ」の大塚さんは、「植物」や「環境」と言ったテーマと縁の深いキャリアを経験されていました。

学生時代は、大学のことに積極的に取り組まれてはいないものの、次第に「環境」というものに対して興味が湧き、自分なりに「環境保全」のことについて探っていました。


今でこそ、「SDGs」にもあるように、環境を大切にすることが推奨されている世の中ですが、大塚さんが20代であるときは、まだ21世紀になる前の1990年代後期でした。

長岡先生もおっしゃっていましたが、この時期に社会性や環境とかを経済と両建てで考えているという点は、非常に珍しいことでした。

また、大塚さんは卒業後、NGO(非政府組織)の「trees for life」に入り、海外の自然環境下で植栽などの経験を行い、植物や環境に対する「社会性」への関心をより深めていきました。

帰国後は、植物園の建設から、運営と言ったお仕事を経験されたのち、「植物の魅力を色々な場所で共有したい」という思いが募り、「株式会社グリーンディスプレイ」に就職されました。

「株式会社グリーンディスプレイ」では、茶葉の木である「オチャノキ」の茶葉以外の使い方を追求する「オチャノキプロジェクト」に関わり、オチャノキの植栽や、様々な商品・展示に用いることでオチャノキの再利用・ブランディングを行っています。
この「オチャノキプロジェクト」は、植物が社会にとって色々な価値を提供していることを示していると言えます。

オチャノキプロジェクト|地域再生/休耕地の活用/企業のCSR活動の一環として植物に再生/再価値を見出すプロジェクトです
オチャノキプロジェクトは「人と自然のつながりを再発見する」をテーマに、休耕地となった茶畑のオチャノキに新たな価値を与え、都市生活と里山や自然とのパイプとなって地域・地方創生.地域再生を目的として、植物に着眼して進めていくプロジェクトの総称で...

このように、大塚さんは、普通とはすこし違うキャリアを歩まれていると言えます。

2.ボタニカルライト

そんな大塚さんが、現在取り組まれているプロジェクトの中で、特に印象的なものが、「ボタニカルライト」です。

植物の力で発電!未来のエネルギー『botanical light』|COLUMN(コラム)|INFORMATION|株式会社グリーンディスプレイ|植物を用いてオフィスや商空間をグリーン溢れる空間にデザイン
植物の力で発電!未来のエネルギー『botanical light』ページです。株式会社グリーンディスプレイは、植物を用いて商空間をデザインいたします。オフィスや公共施設のグリーンコーディネイトから空間デザイン,商空間プロデュース,季節のデコ...

「ボタニカルライト」とは、自然の力による発電で、光るライトです。

仕組みとしては

①植物が光合成で糖(デンプン)を作る

②土の中の根にいる微生物が糖を食べて、分解し電子が発生する。

③発生した電子を電極が回収し、そこに流れる電子により電気を発生させる。

というものです。

実際に、渋谷ヒカリエの「ヒカリエデッキ」では、既にボールスタンドタイプのボタニカルライトが夜のデッキに明かりをともしており、他にも渋谷を中心に、あらゆる場面で活用されているそうです。

その多くは、従来の「株式会社グリーンディスプレイ」の行ってきた空間の演出として、イルミネーションとしての活用が中心となっています。

植物発電ボタニカルライトの実施事例をご紹介!!|COLUMN(コラム)|INFORMATION|株式会社グリーンディスプレイ|植物を用いてオフィスや商空間をグリーン溢れる空間にデザイン
植物発電ボタニカルライトの実施事例をご紹介!!ページです。株式会社グリーンディスプレイは、植物を用いて商空間をデザインいたします。オフィスや公共施設のグリーンコーディネイトから空間デザイン,商空間プロデュース,季節のデコレーションや装飾,イ...

ですが、ボタニカルライトは、まだまだ新しい技術であり、様々な可能性を秘めています。そのため、大塚さんと「株式会社グリーンディスプレイ」の方々は現在も研究開発を進められています。

例えば、

・休耕地エネルギーファームとして有効活用

・空き地や庭に導入し、夜道を照らす防犯対策

・停電や火災時の非常電源

等々、植物由来の電力だからこそ、できることを追求されているそうです。

3.ボタニカルライトは合理的なのか?

私は、ボタニカルライトというものを知らなかったため、大塚さんの話を聞いた時に、とても面白い技術だと思いました。

それこそ、ボタニカルライトはコンセントを必要としないため、それまで電力の供給源が絶たれた場面においては特に可能性が大きくあると思いました。

一方で、現時点では、ボタニカルライトは、合理的なものと言えるのでしょうか?

まず、ボタニカルライトは、家庭用のコンセントよりも高い価格です。また、様々な場面で活用されているものの、現時点だとイルミネーション的な価値が主で、実用的かと言われると、正直かなり難しい側面があります。

そのため、「今」という観点で見ると、正直、ボタニカルライトを使う合理性は低い部分が多いのではないかと思います。

ですが、大塚さん自身も目の前の合理性の有無でボタニカルライトの研究・開発を進めていないと思います。

そもそも、大塚さんは、学生時代から、いわゆる「普通のキャリア」を歩んで来られた方ではなく、大学時代も放浪したり、海外ボランティアに参加しており、その中で着目していたことも、「環境保全」であり、1990年代ということを考慮すると、さほど重要視されていないことに熱心に取り組まれていました。

そのため、大塚さんは当時、かなり型破りなことをされていたと言えるでしょう。当時としては、「合理的」なことをやっていません。

ところが、現在では、「環境保全」というテーマは、各団体・組織で色々な場面で重要視されています。
先述したSDGsにも、14「海の豊かさを守ろう」と15「陸の豊かさも守ろう」とあるように、世界中が、重要なテーマとして掲げています。

そのため、大塚さんは「環境保全」というテーマに対して、パイオニア的存在の一人となり、これまでの取組みも今では「むしろ、かなり正しいことをやっていた」と考えられるものでした。

話をボタニカルライトに戻すと、確かにボタニカルライトは、今は実用性も高くなく、コストもかかるため、合理的なものではないかもしれません。

しかし、自然エネルギーを活用している点などから、対応する植物がある限りは、「持続可能なエネルギー」として、今後はもしかしたら、重宝されるものになるのかもしれません。

そうなったら、「ボタニカルライトは非合理的だ」と言う見方は無くなると思います。

なお、大塚さんは、「自分たちの研究できっかけづくりをして、その有効活用は未来の小学生に託したい」とおっしゃっており、長期的なプロジェクトであることが伺えます。

4.一見、合理的ではないものに取り組むということ

今回、大塚さんのキャリアや、大塚さんのボタニカルライトへの研究・開発を通して、私は「合理性」について考えさせられました。

日々、私たちは、「一見すると合理的なもの」を選びがちではないでしょうか?

例えば、「知識を得るために本を多く買って読む。」ということは、大学生時点で言うと、バイトしかやっていないためにお金がかなり掛かったり、本を読む時間が自分の時間を多く奪うなどして、一見すると、非合理的に感じるため、積極的に選ぼうとしない人が多いと思います。もっとコスパ良い(合理的な)やり方で、効率良くやりたいという選択肢を取ろうという考えになりやすいと思います。

ですが、あえてコスパ良い(合理的な)やり方を選ばずに、コスパ悪い(非合理的な)やり方をする場合、少し時間がたった後に、「やっておいて大正解だった。」と言えるかもしれません。

「知識を得るために本を多く買って読む。」ということも、知識の幅が広がったことで、思わぬ場面でそれを活かせる機会に巡り合ったりするなど、内容面でその人の人生に活かせる場面が出てきたり、本を読む習慣に繋がると言ったことができるのではないかと思います。

そういう意味では非合理的だと思っても、取り組んでみることは、実はとても大事なことではないでしょうか。

ただし、それが「将来的には、結果的に合理的だ」と判断することは、自分も含め多くの人はできないと思います。

むしろ、そう判断できていると思っているものほど、間違っている可能性が高いのではないかと思います。

だからこそ、一見非合理的に見えるものに取り組むのは、すごく難しいことであると言えます。

それを踏まえると、大塚さんが取り組んできたことは、「挑戦」と言えます。

実際、大塚さんは「今やっていることが『それが正しいの?』と思うので、やるのが辛かったりもします。でも、やることは楽しかったし、目の前以外のことを選びたいと思っていました。」とおっしゃっていました。

大塚さん自身も、それが正しいという確信はなかったもの、ご自身の「やってみたい」という好奇心と挑戦意欲が、原動力となっていたようです。

5.大学4年生は「非合理的なこと」に取り組めるのか。

今回のカフェゼミで得られた「合理性」に対する考え方は、自分にとっては、トレンドな話題でした。

現在、私は大学4年生で、就職活動もひと段落しました。

そして、残りの大学生活をどう過ごすかというのが、今回のテーマと大きく絡んでいると思いました。

正直、今までの大学生活では、どうしても根底には「就職活動」が常に潜んでいました。それ自体を目的にゼミ活動を行っていたわけではありませんが、大学生であればその存在を無視するのは難しいと思います

だからこそ、就職活動が終わったあとにどのように大学生活を過ごすのかが、問われると思います。

それは、「卒業論文」を筆頭に、色々な機会やイベントで、非合理的に感じられても、それらに取り組めるかどうかという話になると思います。

また、それらのイベントが「今の自分」だけでなく、「今後の自分」にとっても、大切なこと(合理的)であるかは、正直、断言できるものではないと思います。

ただ、大塚さんを始め、これまでカフェゼミに登壇されたゲスト講師の方は、こういった場面で非合理的に感じられることでも取り組むことができた人たちだと思います。

そして、自分自身も、そういったカフェゼミのゲスト講師の方をかっこいい人達であると感じています。

ゼミの先生である橋本先生も「かっこいい人になってください」とおっしゃっていましたが、そのかっこいいというのは、カフェゼミのゲスト講師といったような、非合理的なことにも取り組める人が、一つの姿ではないかと思いました。

そう考えると、今自分がやるべき、非合理的に感じるものに取り組む上で、カフェゼミのゲスト講師をロールモデルとしてイメージすることは、「かっこいい人」を目指すこと上で、自分自身の支えになってくれると思いました。

6.まとめ~3回目のカフェゼミで得られたもの~

今回で3回目のカフェゼミ。

今回は、4年生のこの時期だからこそ、響くメッセージがあると思いました。

それは、「非合理的なことに取り組む」ことが、一つの挑戦であり、正しいかもわからないけど、それを取り組めることは、結構かっこいいということです。

今は意味なく感じても、将来的には、意味を有するものになるというのは、大学を卒業した後でも、必要な考え方だと思いました。

カフェゼミは、「アタリマエ」を揺さぶるということは、違った視点や考えを得ることができるのと同時に、自分自身のなかでわからなかったことに、一つのアンサーを示してくれる。そう感じられる回でした。

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この記事を書いた人
橋本ゼミ生

産業能率大学情報マネジメント学部橋本ゼミに所属するゼミ生です。

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