※障害者の表記はアルバイト先の名前に含まれておりますため、この言葉を使用させて頂いております。あらかじめご承知おきください。
目次
初めに
現在、私は障害者施設でアルバイトをしており、障害がある高齢者の方を担当しています。そこで気が付いた高齢者が抱える課題に関して記述していきます。
障害者施設でのアルバイトを開始したときに家族や大学の友人にどのような仕事をするのか聞かれたときに、排泄介護を含む仕事をしていると答えると「介助をする相手の方は、もう何年もその生活をしている方だから気まずさを感じなそう」と言われました。しかし、私は気まずさの以前に人としての尊厳を極力守るためには、誰かに助けてもらうことよりも自力で何かできることの方が大事なのではないかと思います。特に排泄は羞恥心を伴うプライベートな行為なだけに、人間が高齢や障害、疾病の影響で排泄行為を自力で行えなくなると、自らの存在価値を低く感じてしまうことがあります。要介護者はこれが慣れているから対処するべき課題ではないと目を背けるのではなく素早く改善方法を導く必要があると思います。排泄ケアは、人間の“尊厳を守るケア”とも言い換えることができます。だからこそ人間の“尊厳を守るケア”を可能にする技術開発をより素早く進めるべきであると思うのです。
幼少期
失禁が恥ずかしいという考えは幼少期から備わっています。幼い時に外でトイレに行くまで我慢できずにその場で用を足してしまったことはありませんか。あるいは、周りでそのような人はいませんでしたか。ユニ・チャーム株式会社は、昭和大学医学部の池田裕一教授の監修の下、2019年6月に全国の5~15歳の年長から中学校3年生までを対象に昼間の失禁について研究を発表しました。(5~15歳対象「子どもの昼間の”おもらし”に関する実態を調査」|2020年|ニュースリリース|企業情報-ユニ・チャーム (unicharm.co.jp) )
ここから分かるように40人学級の場合クラスに1~2人程昼間に失禁してしまう可能性が存在します。実際に私が小学2年生の時にもクラスの男の子が授業中に漏らしてしまい、しばらくの間いじられていたことを覚えています。漏らしてしまう原因の一つには授業中に手を挙げトイレに行くことが恥ずかしいためであると考えます。また、漏らしてしまった場合にはさらなる羞恥を味わうことになってしまいます。
排尿排便は人間が生活する中で一般動作に含まれるため、正常にできないことを恥と捉えることが多いからではないでしょうか。
大人になると
大人になるにつれ、自己管理が徹底できるようになるため幼少期程、排便排尿で苦を感じることは減る統計にあります。しかしながら、大人だから必ずしも大丈夫と安心できるとは限りません。実際にストレスや急な過活動膀胱によって、大人でも失禁してしまうことがあります。幼少期以上に恥であると思い、外出への恐怖を感じてしまう人も多くいるようです。そこで失禁パットなど対処するための一般グッズが販売されています。
では、完全に排便排尿をコントロールできなくなってしまった人のためにはどのような対処方法があるのでしょうか。
高齢者を助ける機械
介護施設の排泄支援では今まで要介護者自らが排泄を予測し、ヘルパーを呼ぶことが一般的で病院でも同様にナースコールが使用されています。しかし、私が普段アルバイト先の障害者施設で担当をしている首から下の感覚が一切ない方は自分で予測することができません。排泄してから処理をするため、おむつから漏れないよう細心の注意を払いながら体位を変え、処理します。もし仮に出る前に察知できたなら、私が担当している方の羞恥を少しでも減らせるのではないかを思い調べてみました。2018年より販売されている『DFree』では超音波を利用して膀胱の変化を捉え、排尿のタイミングを知らせることができます。排尿に関しては個人レベルの対策ができる機械がこのほかにもいくつか存在していました。しかし、排便の察知に関しては医療の場を対象にしたものがほとんどでした。技術がさらに発達すれば排便も個人レベルで予測できるようになるのではないかと思います。
終わりに
高齢者で要介助者であっても尊厳は大事です。そのため、介護は自分の意志で動くのではなく相手の意思を尊重することがとても大切です。相手からの要求を想定して自ら動くことが相手の生活を楽にできるものの、意思尊重は疎かになってしまいます。ロボットよりも人間は相手の感情を読み取ることが優れていると思います。指示がない限り動けないことは確かにもどかしいのですが、尊厳を守るために寄り添った介護が必要です。今後、人間とロボットの良さをそれぞれ生かした介護の発展が大事であると思います。
人間とロボットによる介護を発達させるうえで、特に “尊厳を守るケア”を可能にする技術開発をより素早く進めるべきであると思うのです。排泄は羞恥心を伴うプライベートな行為であるため、高齢者、要介護者だから仕方ないで済ませない世の中になるべきであると思います。現在新たな技術が出てきているため、過ごしやすい日々が訪れる未来が待ち遠しいです。
企業名:トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社(http://dfree.biz/)
執筆:橋本ゼミ11期生 水沼優那