目次
はじめに
初めまして。橋本ゼミ9期生の木村友亮(きむらゆうすけ)です。
今回は、ゼミでオンライン文化祭を開いたことについて、リーダーを務めた私の視点でお話していきます。
このご時世の中、今まで通り、大学のキャンパスでゼミの研究発表を行うわけにはいかなくなりました。だからこそ、私たちのゼミでは、clusterというバーチャルワールドでのイベントを開くことができるサービスを使い、研究発表を行いました。そのバーチャルワールドを作り、研究発表の資料を反映することを担当したのが、私たち9期生(2年生)22人。そしてそのリーダーがこの私です。
どんなバーチャルワールドを作ったのか
文字だけでは、イメージが湧かないと思いますので、実際に作ったものをご覧ください。
全体レイアウト
プレイフルシンキングの部屋、ゼミ説明の部屋
アウトプットの部屋、大人のための部屋
動画部屋
問題解決の部屋、プレイフルな環境の部屋
これでどんなものを作ったのかなんとなくお分かりいただけましたか?
とはいえ、写真だけでは伝えきれないところも沢山ありますので、私の解説付きの動画をご覧ください。
どうでしょうか?
研究発表の資料自体は8期生(3年生)と7期生(4年生)が作成しましたが、それ以外は全て私たち9期生が作りました。つまり、ゼミに入って早々、かなり重要な役割を任されたわけです。実は、22人誰一人clusterを触ったことがなく、さらにバーチャルワールドなんて作ったことすらありません。そんな状態からどうやってここまで完成したのか、9期生全体の組織づくりをした私が説明します。技術的なことではなく、組織作りとタスク管理という点にスポットライトを当てていきます。
組織づくりといえばまずはグループ分け
リーダーとして真っ先に行ったこと、それは班分けです。今回6つの班に分けました。
ネーミングセンスはさておき、この6つの班で直前まで進めていきました。
統括班は全体の統括。ちなみに、私は全体のリーダーでもあり、統括班のリーダーでもあります。デザイン班はレイアウト。動画班は、難しいであろう動画挿入全般。調べる班は、clusterの知識があまりない私たちに必要な知識を伝達する班。残りの2つの班は班名のものを作成するのが仕事です。
各班メンバーは3〜4人です。仕事を細分化し、メンバーを少なくすることで、責任感を持たせました。また、それぞれの班にリーダーを設けました。これは、グループ間での情報の伝達を簡単にすることと、自分のグループは自分たちでまとめ上げるようにしてもらうためでした。私は同級生だけでなく上級生とも連絡を取り合わなければならないので、私の負担を減らすためでもあります。
そして、容量の問題が途中で発生し、バーチャルワールドを6つに分けることにし、後半は組織を作り変えました。
新デザイン班は新しいレイアウト決め。圧縮班は、画像(スライド)をトリミング・圧縮するための班。ワールド調査班はアップロードしたワールドに入って、修正箇所を探し、共有する班。「ゲート」というのはバーチャルワールド同士を繋げるものですが、動画の作業が終わり次第という形で動画班に任せました。
バーチャルワールド作成というものは、完成段階で仕事が変わってきます。そのため、このように進み具合で、組織形態をつくり変えることがやはり必要になってきます。
最も難しく、最も重要なことが上手くいかず…
このように班分けしたはいいものの、あることが思っていたよりも全然上手くいかなかったのです。それは…
「情報共有」
大学の授業は、ゼミのみ対面だったのですが、それ以外の授業はオンライン。ゼミの時間は対面授業とはいえ、週に1回のみ。つまり、今回作業の9割以上をリモートワークで行いました。対面よりも、リモートワークの方が、情報共有が難しいのは言うまでもないでしょう。そこをもっと工夫していればと強く思います。
私が皆にさせた情報共有のやり方、それは、各班のリーダーに、ゼミ生全員が見ることができるチャットで、共有したいこと、自分たちで行った仕事などを共有させ、それによって班ごとに刺激を与え合うことができるようにしました。
情報共有がしやすく、かなり自由ではありますが、一つ欠点がありました。それは、タスクが上手く整理されないことです。
今何をしていているのか。それがいつまでに終わりそうなのか、。その次は何をするのか。
こういったようなことが、彼らがチャットで事後報告を行うか、私がDMで質問しない限り分からないのです。それに、チームメンバー全員が活動しているかどうかの把握すら本人や班員に尋ねるしかないのです。私の命令がチーム全体に行きわたっているかどうか心配になることもありました。
そして何よりも、沢山の9期生から連絡が来たり、多くの先輩から仕事の依頼や試しにやってほしいといった相談が来たりと、私の頭がパンク寸前でした。
おかげでゼミに入ってまだ全然経っていないのに、多くの方とコミュニケーションをとれ、仲良くなるきっかけにもなりました(笑)
すべきことはシート作成?
では、今の私ならどうするか、タスクのほとんどをシートで管理します。今何をすべきか、次に何をするのかということがわかり、自分の班に与えられた役割、全体の進み具合も分かりやすくなるはずです。
オンライン文化祭が終わったあとですが、今回の作業のタスク管理シートを作ってみました。作業に多少の前後はあるものの大体はこの順番で進めました。
担当の欄は、基本的にそれぞれの班の頭文字を入力しています。 時間は、その都度計っていたわけではないので、思い出して大体の時間で書いています。
今回、全員がバーチャルワールド作成の知識がない状態で臨んだので、自分たちで調べながらの作業になりました。そのため、この表は、知識0の集団がチャレンジしたということが前提となっています。知識が0ということは当然失敗も沢山ありました。つまり無駄な作業が多くあったわけです。そういったことも全て含めて、20日間での完成となりました。
反省点と解決策とコツ
今回、無駄だった作業、失敗した点は以下の通りです。
反省点 | 解決策 |
---|---|
動画やスライドを入れると容量が大きすぎて、1つのワールドとしてアップロードできない。 | 最初からワールドを分けるべきだった。 そして、もっとこまめにアップロードするべきだった。 |
動画の圧縮方法としてGoogledriveから動画を引っ張っていくといったようなことをしたが、アップロードすると流れなくなった。 | スライドと同じように動画を挿入するのが一番良い。 |
モデルにした教室の写真を使うか、パーツの色を変えて似せるか選ぶのに時間がかかった。 | どこに写真を使うべきなのかデザインを決める段階である程度話し合うべきだった。 |
せっかく人数が沢山いるのに、1つのファイルでしか作業ができないので、作業の負担の差が大きかった。 | 最初からワールドを分けて担当を決めて、並行作業可能な状況を作ればよかった。 |
レイアウトの変更が多々あったため、作ったものが無駄になることが多かった。 | レイアウトを担当した3年生は、研究発表の資料作成とレイアウト作成に追われている。つまり、彼らは、バーチャルワールドの知識をつける余裕などない。 そのため、反映後に「完成形が思い描いていたようなものでない」といった理由で変更ということが多々あった。2年生にもっとレイアウトに関与してもらうべきだった。 |
3年生のスライドと動画作成と、2年生のバーチャルワールド作成が同時に行われているので、研究発表資料の変更が多々あって、全て取り替えたりもした。 それが、かなり無駄な時間だった。 | 変更になる可能性があることを反映前に把握して、優先順位をつけて作業するべきだった。 つまり、絶対に変更がない最終版が来るまでは、他の作業をやる。 |
仕事がなくなる班があった。 | 班を作るのであれば、状況に応じて、仕事がなくなった班をなくして、新しい班を作るべきだった。 |
ファイルの共有のやり方は、やったことがない人がやる度に教えていたので効率が悪かった。 | 1回全員に対して一度に教えるべきだった。 |
特に動画班について、ネットでやり方を調べることに時間を使いすぎた。結局は、調べても分からず、自分で方法を見つけることができた。 | 時間を決めて調べることを切り上げるようにさせるべきだった。動画は、他の作業と比べて、単純な作業で済まないことが多いので、調べる班をもっとそこに充てるか、動画班の人数を増やすべきだった。 |
ゲートについて、イベントごとにバーチャルワールドのURLが変わってしまう。ゲートには、バーチャルワールドのURLを貼る必要がある。 | イベントを開催すると、その度にURLを貼り変えなくてはならないので、イベント開催を1つにし、他はイベント開催ではなくワールドの限定公開にする。作業の効率化。 |
「取り込む→配置→サイズ調整」という単純作業では済まないものは、時間の確保を前もってするべきだった。動画、ゲートなど。 | |
チャットでのやり取りだと、重要な情報が流れてしまった。操作方法など。 | 共同編集できる一枚のシートなどで管理するべきだった。 |
このシートを作ったことで無駄な作業がいかにあったか、1つの作業でいかに時間がかかっていたかが分かりました。 そこで、そういった「無駄」をなくすための具体的なコツを皆さんに伝えます。上記した解決策もコツになりますので、それにプラスしてといった感じでお考え下さい。
- 配置したパーツの名前は変えることができるので、その名前の変更などをして、どのパーツがどれを表しているのか分かりやすくすると作業効率が上がる。
- ワールドの共有をする際は、ゴチャゴチャにならないように、ワールドに分かりやすい名前をつける。
- ワールドの共有をする際は、個人宛に送るのではなく、メンバー全員が保存できる場所(Googledriveなど)に共有する。→特定のメンバーがいないから続きの作業ができないといったトラブルがなくなる。
- アップロードをする時、斡旋パソコンだと限界があるので高性能パソコンを使ってアップロードするに越したことはない。
- 時間がない人は特に。ワールドを複数作成する場合は、1つ目のワールドのデータの複製を上手く使って、作業の効率を図ると良い。
もし今もう一度同じものを作るとしたら…
こういった反省点も考慮したうえで
基本的なclusterの操作が分かる事を前提にした場合、この表がどうなるのか、つまり、無駄だった作業を全て省き、もし今から全く同じものを作るとしたときのタスク管理シートを作ってみました。 「調べる」という作業は、それまで作れるだけの知識がなかった私たちには必要でしたが、「もう一度作る」という点で考えているので、次のシートでは基本的にそこも省略しています。
全く同じバーチャルワールドを作るとしたらこの通りに作業していけば、寄り道なく作れるはずですと言いたいところでしたが、シートを見てあることに気が付きました。
それは…
ほぼ同じ作業の繰り返しなのです。
パーツが違うだけで、部屋を構成するパーツもスライドも動画も、
取り込む→配置→サイズ調整
の繰り返しだとシートで整理されたことで気付きました。そしてその作業がほとんどを占めています。つまり、スライド、動画、小物、床・壁・天井…のように分けましたが、「モノ」で分けるのは良くなかったです。「作業」で分けることが必要だったのではないかと考えます。「モノ」で分けると、作業が全く違うものだと考えてしまうからです。その「モノ」がなんであるかに関わらず全く同じである作業を全員に教えれば、班という縛りなしで、ほとんどの作業を行えるので、効率が上がったのではないでしょうか。学生なので、授業、アルバイトがあり、班全員が活動できない日があるという班もありました。そこが改善されるはずです。 それも踏まえて、タスク管理シートを作ってみました。
私は、同じものを作るとしたらこれがベストな方法だと思います。上記に列挙した、反省点、解決策、コツなどを基にそこで違いをだしたタスク管理シートがこれです。まず、前提として、ワールドを6つ作るということを最初に決めたうえでの作業です。
このシートを見ると、基本的な繰り返しの作業以外で、必要なものは少ないですよね。動画挿入後の細かい設定、ゲートの設定などは簡単な単純作業ではできないので、やはり、班分けは必要になってくると思います。
時間との戦い
3枚目のタスク管理シートがベストな方法ということは、このやり方で同じ20日前から作ったらおそらく時間が余るはずです。
私が求めていたものは、「時間」でした。「もっと時間があったら…」実は文化祭当日、こう思っていました。
私は、文化祭前日、仕事を切り捨てる作業に入りました。つまり、修正したい箇所を見て見ぬふりをしました。例えば、
- 最後の最後までスライド、動画に細かい変更があったので、その変更点を反映したスライド、動画の張り替え
- アップロードすると色がなぜか反映されない箇所の修正
- ゲートポイントがドアの真ん中より少しずれてしまったのでそこの修正
- 天井の高さの細かい修正(少し低かったため、スライドが貼ってある立方体と重なってしまう箇所があった)
- 入口のドアがガタガタ勝手に動いてしまう(おそらく細かい位置調整の問題)
これらの修正箇所を諦めました。クオリティの高さを求めるのは当然のことですが、優先順位をつけて絶対に修正が必要な箇所から修正していったので、時間的にもあきらめざるをえませんでした。
絶対に修正が必要な箇所、それは、イベント参加者が迷子にならないことです。ワールドが6つもあるので、初めて入る人だと迷子になりかねません。だからこそ、ゲートの位置を分かりやすくすることに時間を使いました。そして何よりも、ゲートを通ると、たまに変な位置に移動してしまったりといった問題が発生したので、そこにも時間がかかりました。
こんなに時間がなかったのは、やはり、修正したい箇所の①が一番の原因だと思います。そう、最後の最後まで次から次へと上級生から修正版のスライド、動画が送られてきました。「また貼り替えるの~」の繰り返しでした。
「変更してほしいと言われたスライドや動画は、今から一切受け付けない!」として、ある時間をもって諦めるという手に出てしまいました。
これは、上級生が悪いわけではありません。なにしろ、上級生は研究発表の資料を作ることが担当なわけですから、最後までクオリティを高めたいのは当然のことです。ですが、上級生はそれをワールド上で変更する作業がいかに時間がかかる作業なのか。あとどれくらいで完成なのかということまでは、私と常に連絡をとっている一部の上級生しか把握できてないわけです。こういったことからいかに全体に現状を細かく共有できる仕組みを作れるのかがキーになると思います。
そう、無駄な時間を作らないためには、「情報共有」が一番重要です。
そして、それも上手くできていれば、きっと時間が余るでしょうから、上記の5つの修正できなかった箇所を直す時間にきっと充てていました。
タスク管理シートにメモ欄を付ければ、細かい補足の情報共有も上手くいきそうですよね。
最後に
今年もオンラインで文化祭等のイベントを行う方がきっと多いのではないでしょうか?そしてバーチャルワールドでの開催を考えている方、特に初めて作るからどういった流れで作ればいいのか分からないという方の参考になれば幸いです。私たちは、ZOOMを繋げての作業がメインでした。特に休日は1日中繋ぎっぱなしでした(笑)班ごとの作業はそれで上手くいくかもしれませんが、全体を考えると、そう上手くはいきません。だからこそ、リモートワークの時はより一層、タスク管理シートを作成するべきだと強く思います。経験者は語るってやつですね(笑)
執筆:橋本ゼミ9期生 木村友亮