目次
はじめに
12月15日に神奈川県共生社会実現フォーラムに参加しました。このイベントがどのようなものか、ゼミとしてどのように関わったのか、その結果得られたことについて述べていきます。
神奈川県共生社会実現フォーラムとは
神奈川県共生社会実現フォーラムは、神奈川県で起きたとても悲しい事件である「津久井やまゆり園」をきっかけにしたイベントです。同事件の後、神奈川県では「ともに生きるかながわ憲章」が制定されました。
一 私たちは、あたたかい心をもって、すべての人のいのちを大切にします
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/m8u/cnt/f535463/index.html
一 私たちは、誰もがその人らしく暮らすことのできる地域社会を実現します
一 私たちは、障がい者の社会への参加を妨げるあらゆる壁、いかなる偏見や差別も排除します
一 私たちは、この憲章の実現に向けて、県民総ぐるみで取り組みます
共生社会実現フォーラムは、この神奈川憲章の理念を実現するためのイベントとして開催されています。橋本ゼミでは、このフォーラムに参加するに当たり、共生社会の実現や神奈川憲章の観点から研究を見つめ直しました。
ともに生きる社会
— 産業能率大学 橋本ゼミ (@hashi_lab) December 15, 2019
というのは、英語では「インクルーシブソサエティ」 pic.twitter.com/2ly7B92YXH
橋本ゼミ的共生社会に向けたアプローチは「つなぐ」
共生社会の実現に向けて研究を整理する際のキーワードを「つなぐ」としました。具体的には、団体の紹介に以下のように記述しています。
企業と社会、地域の中での多世代等々、一見分断してしまっているように見えるものがあります。私達、橋本ゼミでは、こういった分断をいかにつないでいくのかに注力してきました。一つ一つの取組みは一見関係がないように見えますが、「つなぐ」というキーワードで一つになっています。
市民と商業者をつなぐ
たとえば、昨年より取り組んでいる伊勢原市内の商業の活性化に関しては、取り組みの中で市民と商業者の見ている世界のちょっとした「ズレ」を感じました。そこからは、同じ地域で共に生活していながらもお互いを理解することの難しさを感じました。
特に、私達自身が地域のことも、市民のことも知らないということを痛感したのです。
そこで、現在地域のことについて私達自身が学びながら魅力を発信するWebメディアの立ち上げを行っています。そのメディアが地域の方々をつなぐきっかけにならないかと考えています。
ファクトフルネスにおける分断本能
また、今年の学祭では、世界的なベストセラーとなったファクトフルネスを題材としました。この本では、自分たちは十分な教育を受けて知識があると考えている人でも陥ってしまう10の罠について取り上げています。その一つに、「分断本能」があります。
分断本能とは、先進国と途上国というように「世界は分断している」と思い込んでしまうという罠です。その罠が故に、実は世界は所得や保健等の差が少しずつ縮まってきているにも関わらず、分断していると思い疑わないのです。そして、疑わないが故に正しい事実に気付けないというものです。
「つなぐ」という所にもそんな罠があるような気がしました。「つなぐ」という言葉を出したがゆえに、「つながっていない」と思い込んでしまうことがあるのではないかと考えました。
そこで、私たちがアプローチするのは、分断しているかどうかではなく、「分断しているように見える」という現象です。なぜ、分断しているように見えるのか、また、分断していると表現する人が出てくるのかを分析し対策を考えています。
神奈川県庁の歴史的な建物の中で、研究発表しています。
— 産業能率大学 橋本ゼミ (@hashi_lab) December 15, 2019
「つなぐ」をキーワードに研究をまとめました。#共生社会 #hashi_lab pic.twitter.com/QmZjhzhIIM
いつもと違う人たちと話すこと
今回のイベントは神奈川県庁の一般公開と合わせて実施されました。それゆえ、県庁を見るために来た(立派な知事室などに入れました)人たちにも研究を聞いてもらうことができました。
人によって前提となるものが違うので説明は大変でしたが、貴重なフィードバックを得ることができました。
ある方からは、翌日本当に長文のメッセージを頂き、またそれが極めて私達の課題を示しているばかりか、次に進むべきアドバイスまであるものでした。単純に驚いています。
また、他団体(大学だけではなく、企業も参加されていた)の研究も非常に興味深いものでした。なんとなく、自分たちが経営学やマネジメントの世界の中では異端だなと思っていましたが、全く別の研究やアプローチを見ると、やはり経営学的発想をしているのだなと気付かされます。
共生社会フォーラムで、OriHimeに会う。
— 橋本 諭 (@satoshi_hashimo) December 15, 2019
触ってみると、コミュニケーションを加速させたり、あえて無視できたりする(多分これが重要ではと思った)仕組みを感じた。 pic.twitter.com/QlTalCcQdt
いつもとは違う人たちに話をすることで、私たちは大きな収穫を得ました。一つには、貴重な意見やフィードバック。もう一つは、自分たちが前提としている知識や文脈に気づくことができたと思います。
いただいたフィードバックを次に活かしていきます。