目次
1. はじめに
初めまして。橋本ゼミ13期生の小泉と柳原です。
私たちは伊勢原市で行われている、資源の再利用を促進するための様々な取り組みを調べていく中で、草木類を効率よく収集するために導入された 「WOOMS」 という技術を用いた 「草木類ステーション収集」 という新しい取り組みに注目しました。
本記事では、伊勢原市で導入された背景と共に 「WOOMS」の良さ について触れていきます。
2. 「WOOMS」のシステム概要
小田急電鉄が提供している 「WOOMS」 という収集支援システムについてご紹介します。このシステムは、収集スタッフをサポートする 「WOOMS App」 と、管理者をサポートする 「WOOMS Portal」 に分かれます。

(出典: WOOMS App and Portal 収集運搬事業者 – 収集・排出・資源循環のサポート|小田急 WOOMS )
WOOMS Appとは、デバイスを収集車に乗せるだけで、収集に最適なルートの表示や収集データの取得・可視化を行うことができます。これにより、収集スタッフが行っていたゴミの量の記録や日報の作成などをサポートすることができるため、負荷の軽減につながります。さらに、通信デバイスを乗せた各車両の情報連携が可能となることで、収集スタッフの急な欠員など緊急時のルート変更などに迅速に対応できるという利点があります。 「WOOMS Portal」では、収集量や運行時間などの情報をリアルタイムに把握できるだけでなく、Portalに集まるデータ分析を行うことで収集ルートや積載量の最適化を図ることができます。

(出典:伊勢原市,「ゴミの減量化・資源化を推進するため4月から草木類のステーション収集を開始します」, ニュースリリース,2024年4月1日,「20240401_wooms.pdf」)
上記のように「WOOMS App」と「WOOMS Portal」2つの機能を最大限に発揮することで、「効率が悪い」という課題を草木類ステーション収集は解決しました。
また、最適なルートの表示によって専用トラックから出る二酸化炭素の排出軽減につながっていると考えられます。
「WOOMS」の導入により収集ルートの最適化の表示されることで、効率的に草木類の取集が可能となることに加え、収集業者の負担軽減と二酸化炭素の削減を実現しました。
3. 導入事例+グッドデザイン賞について
WOOMSは 全国6つの自治体 で導入されています。
導入事例(伊勢原市・秦野市)
2023年、伊勢原市と秦野市で出される燃やすゴミの量はそれぞれ約 2万2000トン、約2万5000トン でした。
これまでは 「伊勢原清掃工場」と「はだのクリーンセンター」 で処理されていましたが、伊勢原清掃工場の老朽化により、
2024年4月から「はだのクリーンセンター」1施設での処理に変更 されました。
しかし、この変更により ゴミの減量が必須 となりました。
そこで、再利用可能な資源を 「草木類」 として「可燃ゴミ」と区別し、回収を始めました。
しかし、ここで新たな問題が発生しました。
- 「草木類がどのステーションに出されているのか把握が難しい」
- 収集車は市内すべてのステーションを回る必要があった
この 課題を解決 するために、小田急電鉄の 「WOOMS」 を導入しました。
座間市での導入効果
座間市では 2020年8月 からWOOMSを活用した実証実験を行い、正式導入されました。
その結果、以下のような効果が確認されました。
- 運搬回数
- 導入前:10,943回
- 導入後:8,911回(-2,032回(-19%削減))
- 焼却処理量
- 導入前:20,875t
- 導入後:17,858t(-3,017t(-14%削減))
グッドデザイン賞2024受賞
WOOMSは、持続可能な循環型社会を目指す取り組みとして、
「グッドデザイン賞2024」 において 金賞 を受賞しました。
WOOMSは全国6つの自治体で導入され、座間市では2020年8月から実証実験を経て収集効率が向上し、運搬回数や焼却処理量の削減に成功しています。
4. まとめ
現在、深刻な 人材不足 を抱えるゴミ収集業界では、
分別収集や戸別収集などの新しい要請に対応しながら、負担の増大に直面しています。
そこで、デジタル技術を活用し、収集業務を「データ化」「可視化」する ことで、
収集スタッフと管理スタッフの負担を軽減できる「WOOMS」 は、
今後の ゴミ収集業界の変革 をもたらす存在となるでしょう。
もしかすると、あなたの町にも「WOOMS」を搭載したゴミ収集車が走っているかもしれませんよ!
参考文献
- 小田急WOOMS
https://www.wooms.jp/solution-service-jichitai/ (最終閲覧日:2025年1月16日) - GOOD DESIGN AWARD
https://www.g-mark.org/gallery/winners/27502 (最終閲覧日:2025年1月16日) - ゴミの減量化・資源化を促進するために(伊勢原市)
「20240401_wooms.pdf」 (最終閲覧日:2024年12月13日) - WOOMS App and Portal(小田急WOOMS)
https://www.wooms.jp/wooms-app-portal/ (最終閲覧日:2024年12月13日) - 分けて資源化する取り組み(伊勢原市)
「https://www.city.isehara.kanagawa.jp/docs/2024032600036/file_contents/240401-1.pdf」 (最終閲覧日:2024年12月13日) - 燃やすゴミから資源を救出(伊勢原市)
「https://www.city.isehara.kanagawa.jp/docs/2024103000031/file_contents/241101-4-5.pdf」 (最終閲覧日:2024年12月13日)
執筆:橋本ゼミ13期生 柳原慧 小泉誠也