研究発表を通じて感じたスチューデントエージェンシーの前提とは?

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橋本ゼミ瑞木祭全体統括の杉森泰樹です。

私たちは11月に行われた学祭にて、「Z世代のスチューデントエージェンシー」をテーマに研究発表を行ないました。その中で、私たちは「Learning is Entertainment」がスチューデントエージェンシーを発揮する上で重要なのではないかと考え、学ぶことを楽しむことができる企画を実施しました。そこで、企画ができるまでの経緯や当日の様子、来場者の感想、そして今後橋本ゼミとして考えていくことについてまとめていきたいと思います。

※スチューデントエージェンシーとは何かを知りたい場合、過去の橋本先生のブログをご覧ください。

Z世代のスチューデントエージェンシー×Learning is Entertainment

 私たちは、今回スチューデントエージェンシーを「ウミガメのスープ」というテーブルゲームで体験していただきました。来場者のみなさんには、非常に楽しんでゲームを体験していただき、私たちとしてもうれしい限りでした。しかし、このウミガメのスープという企画の発案に至る経緯が非常に大変でした。

その理由として、スチューデントエージェンシーの概念が複雑だったことが挙げられます。スチューデントエージェンシーは、OECDによって「変革を起こすために目標を設定し、振り返りながら責任ある行動をとる能力」と定義され、2030年という未来で、よりよく生きる(ウェルビーイング)ために必要な能力として重要視されています。しかしながら、この定義は非常に広義であり、概念と具体的な行動が結びついていない状態となっています。

そこで、私たちは、研究発表の企画を考える際、どの視点から説明するのかとその重要性について自分たちなりに解釈してきました。当初は、具体的な行動を伝えた方が分かりやすいのではないかと企画を考えていましたが、やはりそれだけでは広義なスチューデントエージェンシーを語ることはできず、断念しました。そして、最終的に決定したのが「スチューデントエージェンシー×Learning is Entertainment」でした。

なぜ、このテーマに決定したかというと、1つ目に、様々なスチューデントエージェンシーの具体的な行動を調査していたところ、すべてに共通して「学ぶことを楽しんでいる」ということが言えたのです。どんなにつらいことや大変なことでも、「楽しむこと」を学びに付加していくことで、目標のために努力し、自分のみならず他人にまで良い影響を与えていけるのではないかと考えました。そして2つ目に、このテーマは、橋本ゼミのビジョンでもあります。私の先輩も同期も後輩も、幸せの笑みとともにゼミ活動をしていました。彼らの心躍るような活動姿勢は、まさにスチューデントエージェンシーの体現だったと感じました。

したがって、私たちは「スチューデントエージェンシー」を発揮する上で、このLearning is Entertainmentは必要になると考えました。

会議の様子

当日の様子と来場者の感想

当日は、ウミガメのスープだけでなく、大学4年生が行なった、卒業研究の中間発表や橋本ゼミで行なっているMy playful townの紹介なども含め、非常に多くのお客様に来場していただきました。

卒論やMy playful townの紹介

ウミガメのスープも、お子様から社会人の方まで、多くの人に体験していただき、私たちとしても、大きなやりがいを感じました。

クイズを悩みながら解く方や、同伴者と楽しそうに解く方、すぐに解いてしまう方など様々な来場者さんがいらっしゃいました。実は、ファシリテーター(出題者)も、楽しく解いてもらうために、準備の段階から様々な試行錯誤をしていました㊙。それも功を奏して、結果多くの皆様が、解き終わった際に笑顔を見せていました。難しいテーマではあるものの、学ぶことに楽しさを見出すことができた瞬間だったのだと感じています。

ウミガメのスープを解く1

ウミガメのスープを解く2  

また、クイズを解いた方にアンケートをポストイットに書いていただき、82通の感想を頂戴しました。

その中には、「楽しかった」「むずかしかった」という回答が多い一方で、「あらゆる視点で考える方法を知れた」や「やわらかく物事を考えると色々なことがうまくいく」「これからは柔軟な発想が必要になることがわかった」といった、まさにスチューデントエージェンシーの核心を突いてくる意見もありました。

私たちは、スチューデントエージェンシーの事例をウミガメのスープを使って紹介していきましたが、「多くの笑顔が見られたこと」「スチューデントエージェンシーの中心的な概念を感想に書いていただけたこと」の2点は、私たちが研究発表を通じて感じてほしかったものでした。スチューデントエージェンシーの概念こそ抽象的で難しいものですが、この意見こそ、具体的な活動に結びつくきっかけになると考えています。

ロール紙に貼られたポストイット(感想)

今後のスチューデントエージェンシーとの向き合い方

私たちは、今回の企画を通して、「スチューデントエージェンシーは、Learning is Entertainmentという前提がある」という仮説を立てましたが、ウミガメのスープを通じて、スチューデントエージェンシーを発揮するきっかけという視点では、正しいのではないかと考えられました。楽しそうに問題を解く姿に、芯をついた意見は、考察としての根拠になると感じます。

 しかしながら、まだまだスチューデントエージェンシーの概念は具体的になっておらず、極めてあいまいな概念であるとも感じています。

 したがって、私たちは、今後スチューデントエージェンシーを発揮するきっかけがLearning is Entertainmentであることを前提に、その人が持つ特徴や発揮する場面の違いなどを基に、より具体的によりよく生きる力が何なのかを追求していきたいと考えています。

そして、私たち学生(Z世代)がこの力を身に付けると、将来どうなるのかを、私たちが実際の活動を通じて考えていきたいと思います。

最後に、ご来場いただいた皆様には、本当に感謝させていただきます。ありがとうございました。また、機会がありましたら、橋本ゼミの研究発表に足を運んでくださるとうれしいです。

執筆:橋本ゼミ12期 杉森泰樹

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