橋本ゼミ12期生の安藤健成と13期の上野遥菜です。私たち橋本ゼミは「しなやかなソーシャルイノベーションの実現」をテーマとし、湘南キャンパスで活動しています。
突然ですが皆さんは「大山とうふ」と「大山豆腐」の違いについて知っていますか?
わかりますよね。
「とうふ」の字が漢字か平仮名かです。
しょうもないと思ったそこのあなた。ではなぜ「大山とうふ」と「大山豆腐」の二つの商品の名前があると思いますか? ここには実はとんでもない秘密が隠されています。
この秘密をきっかけに私たち橋本ゼミでは今年の11月2日(土)、3日(日)に開催される学祭の模擬店にて、「大山とうふ」を使ったスンドゥブを販売します。なお、今回販売で得た利益は伊勢原市が森林の保全などを目的に行っている「みんなのベンチ」に参加してベンチを購入し公園に寄付する予定です。
今回の記事では「大山とうふ」にまつわる秘密、販売に至った経緯等を製造元へのインタビューをもとにお伝えします。
目次
「大山とうふ」との出会い
私たちが「大山とうふ」と出会ったのは私たち橋本ゼミの第2週目の授業の中でした。
今回私たち橋本ゼミの模擬店では湧水工房さんの「大山とうふ」を使ったスンドゥブを販売したいと思います。
今年は「大山豆腐」か。
去年は獣害問題解決目的でジビエカレーだったけど今年はどんな問題があるのだろう?
橋本ゼミでは模擬店を出店する際には、伊勢原市の魅力を発信することを目的としています。2023年は、神奈川県で二番目に獣害被害の多い地域が伊勢原であったためその課題を発信するために模擬店でジビエカレーを販売することになりました。
実は今回取り扱う「大山とうふ」は、過去に「大山豆腐」という名称で伊勢原市とは関係のない地域でも販売されていました。令和6年6月24日に伊勢原市商工会及び伊勢原うまいもの遺産創造委員会により「大山とうふ」の地域団体商標が出願されています。
「大山詣り」の構成文化財である「大山とうふ」のブランド保護と活用が目的なんだ。
伊勢原市では令和6年度中に商標登録を目指し、引き続き伊勢原うまいもの遺産創造委員会と伊勢原市商工会が協力し「大山とうふ」のPR活動等の、登録に向けた認知拡大の取り組みを行っている、みたいなんだ。
参考)https://www.city.isehara.kanagawa.jp/docs/2024080100021/file_contents/20240801_oyamatofu.pdf
「大山とうふ」のとうふの字が平仮名なのにはこんな秘密が隠されていたなんて。確かに伊勢原とは関係のない地域で販売されるのはいい気分ではないですね。
それだけではないんだよね。
物価高・円安による豆腐店の倒産、廃業が今年の1月~7月間で36件と過去最高のペースであるという問題もあるんだ。
「このままじゃ伊勢原が誇る「大山とうふ」がすたれていってしまうのではないでしょうか?
これらのことを知った私たち橋本ゼミでは「大山とうふ」の購入やPRという形で微力ながらお力になれたらと考え、取り扱うことにしました。
インタビューに行ってきました
今回私たちがお話を伺ったのは、丹沢大山国定公園の一角に位置する大山のふもとで営む「湧水工房(ゆうすいこうぼう)」さんです。こちらの豆腐は店内で一つ一つ丁寧に手作りしており、国内産の大豆と天然のにがりを使用しています。
定番の絹豆腐の他に、「変わり豆腐」と呼ばれる煎茶やほうじ茶、黒ごまなどの大豆以外の素材を使用した豆腐も作られています。
- Qどの様なお客様が多いですか?(年齢層、地域)
- A
基本は高齢者層が多いかな。スーパーで安い豆腐も売っている中で、わざわざ大山を訪れて良いものを購入しようとする経済的な余裕がある高齢者や健康意識の高い高齢者が多いよ。
経済的に余裕がある人の中には、豆腐が美味しい=水が良い と思う人も多いようで、土日になるとペットのためにわざわざ湧き水を汲みに来る人もいる。そういう人たちが購入していくときもあれば、健康意識が高く、癌や糖尿病などの病気を患い、食生活改善の一環としてヘルシーで健康に良い豆腐を購入する人もいるよ。
繁忙期だと横浜や都内近郊からも幅広い年齢層が来るよ。
- Q一番作るのに大変な豆腐は何ですか?
- A
誰も作っていない豆腐だね。
もともとよそでやっているものであれば模倣すれば良いけど、作り出すというのはやはり手間がかかるのよ。蕎麦屋さんなどで出される「ヨモギ豆腐」は葛などで固める場合があるんだけど、にがりを使って作ってみたらブヨブヨになって失敗したこともあったんだ。
前例がないから失敗の原因も分からないというのが苦労したなあ。にがりではないもので固めた場合、「これは豆腐なのか」と言われてしまって保健所の許可を取るのも大変だった。
季節ごとに桜や紫芋などの豆腐を販売していて、関心を持ってもらうまではいくんだけど、そこから購入に繋げるのが課題なんだよね。10月に入るとハロウィンの影響か、白色ではない紫芋の豆腐も結構売れるよ。
- Q物価高・円安による豆腐店の倒産, 廃業が過去最多ペースとニュースで見たのですが、その影響は実際受けていますか?
- A
業界背景としては生産者の高齢化、専用機械の故障による倒産・廃業が多いんだよ。
円安の影響で、相対的に商品価格を上げざるを得ない状況になってしまっているね。我々のような個人経営としては、商品力をより一層高めて高い値段で販売することしかできないんだ。
大手だったら、設備投資をして人件費を抑えることで安い値段で販売することができる。だけど個人経営だと故障した機械を買い直さなきゃいけなくて、その費用を回収できるかどうかが問題になるから、豆腐を安く売るのが難しいっていう現状があるんだよね。
この通り豆腐はビジネスモデルとしては破綻しているので、いかに付加価値を付けるかを日々模索しているよ。
- Q「大山とうふ」の地域団体商標の獲得に向けて何か独自の取り組みがあったら教えてください
- A
「伊勢原うまいもの創造委員会」(日本遺産及び伊勢原市の認知度向上や地域産業の活性化を図るため平成30年に設立された任意団体)に参加し、地域団体商標としての認知度向上を目指しているよ。またSNSでの宣伝や取引先へ「大山とうふ」の名称をメニューに明記してもらえるようお声がけをしているよ。
- Q「大山とうふ」の地域団体商標の獲得に向けて私たち含めた消費者がお手伝いできることはありますか
- A
大山エリアを訪れたら豆腐料理を楽しむことができ、お土産として豆腐を購入することができるということの周知だね。観光地はお客様数がかなり変動する。
だから、いかに地元以外の人に周知できるのかが問題なんだ。
だけど関東で流通している「大山豆腐」の多くは、さいたま市の企業「アサヒコ」製の「大山阿夫利豆腐」というもので、2024年10月現在、伊勢原市で「大山とうふ」を扱うスーパー卸の豆腐屋は、実は一軒もない。
スーパーなどの店頭で「大山とうふ」を購入することは難しいけれど、地元産品の応援のためにも地元のものを手に取ってほしいと思っているよ。
インタビューを通して全体の感想
今回湧水工房さんへインタビューをしてみて、「大山とうふ」について理解が深まりました。大山詣りの返礼品として納められた大豆と大山の湧き水で豆腐を作っていたという大山とうふの起源も興味深かったです。
工場で大量生産される豆腐に対して、湧水工房さんの豆腐はこだわった原材料で一つ一つ手作りされています。その背景を知ると大山とうふの高めの価格設定は納得のものであると感じました。
そんな「大山とうふ」が地域団体商標を獲得するためにはまだまだPRが必要です。SNSで発信したり、今回私たちが模擬店で販売するように地元のイベントに参加してアピールしたり、様々な方法でお力添えができると思います。もちろん皆さんが美味しくいただくことも「大山とうふ」のPR活動になります。
地域団体商標獲得のため、大山とうふを応援していきましょう。
瑞木祭での販売内容
販売価格600円
販売個数2日間で300食完売を目指しています。
最後に
ここまで読んでいただきありがとうございます。皆さん「大山とうふ」について理解を深めることが出来ましたか?「大山とうふ」を食べたいと思いませんか?
「大山とうふ」に貢献したいと思ってくれた方、また少しでも興味を持ってくださった方は、11月2日(土)、3日(日)ぜひ私のゼミの模擬店に足を運んでみてください。
この記事を読んでも全然わからなかったという人は必ず来てください!わかるまでこちらが語らせていただきます。冗談です(笑)
当日模擬店で待っています。どんな方でも大歓迎ですので是非足を運んでみてください。
執筆:橋本ゼミ12期生安藤健成 13期上野遥菜