目次
はじめに
こんにちは。橋本ゼミ11期の原田、小野、川口です。
私たちは今年の瑞木祭で橋本ゼミが過去に行ったことを調べ、再評価する活動を行いました。橋本ゼミは「Learning is Entertainment」をビジョンに掲げ、様々な活動を行っています。そこで学びの楽しさにはどんな要素があったのかを過去の活動をもとに考えていこうと思います。
結論から言うと「先入観を疑う」「理論を使ってみる」「身近に感じさせる」ことが橋本ゼミで提供した「学びが楽しくなる要素」だと考えました。それぞれについて年度ごとの具体的活動をもとに見ていきたいと思います。
先入観を疑う
14年には「Creative Confidence-創造力に対する自信-」を扱いました。クリエイティブコンフィデンスは誰しも持ってたものであるが、歳を重ねるごとに失ってしまうものです。失ってしまった自信を取り戻すというのがこの年に行った橋本ゼミのテーマでした。体験型ゲームのストーリーとして「天狗」が登場し、主人の「CC」を奪ってしまいそれを奪い返すといったものです。来場者は様々なゲームを体験しストーリーを進め天狗と戦う・・・はずだったのですが、実はCCが失われた原因は天狗(他者)ではなく自分自身にあったのだと気づく仕掛けとなっていました。この背景には自身のマインドセットと強く関係があります。「人間の能力は学習や経験によって伸ばせるもの」と考えるか「石版に刻まれたように変化しないもの」と考えるかによって結果は大きく変わってきます。「自信」に対して「マインドセット」というアプローチで理解を深めていくものでしたが、考え方を疑い思考の解像度を上げることがこのゲームの刺激であり面白さだったのではないでしょうか。
参考文献:キャロル・S・ドゥエック.マインドセット「やればできる!」の研究.2016年
理論を使ってみる
16年には推理型体験ゲームを行い、その中でチームビルディングと心理的安全性を扱いました。チームビルディングは、個々人の能力やスキルを最大限発揮させながら、チームとして目標に取り組む組織を構築する手法です。心理的安全性は組織の中で考えや意見を安心して言える環境のことであり、1990年にエイミーエドモンドソンが概念を提唱しました。ゲームの内容は、良いチームだと評判だったアイドルグループが突然不仲になってしまいその原因を探るというものです。来場者にただ問題を解いてもらうわけではなく、実際に理論を用いた思考プロセスを組んでもらうことで、学びが生かされる感覚を楽しんでもらいました。
身近に感じさせる
17、18年に扱ったSDGsと19年に扱ったファクトフルネスがこれに該当しました。
SDGsは「「誰ひとり取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため、2030年を年限とする17の国際目標」(外務省、SDGsの概要及び達成に向けた日本の取組み)とされています。この「誰ひとり取り残さない」は言い換えれば「誰一人当事者でない人はいない」というメッセージとも受け取れます。また、SDGsは世界のあらゆる問題を包括的に扱っているため、私たち一人一人にも直接関係しています。しかし当時SDGs自体がそれほど認知されていなかったため、橋本ゼミでは、まずはSDGsを知ってもらい世界の課題に対して当事者意識を植え付ける取り組みを行いました。
ファクトフルネスは思い込みによる誤った世界の見方をデータを用いて正しく理解することを促すものでした。瑞木祭の場で書籍の内容をそのまま伝えてもきっと来場者を置き去りにしてしまうだけでしょう。ファクトフルネスが扱う内容は世界全体のことであり、実際は身近な内容であったとしてもなかなかそれを意識することが難しかった。そこで橋本ゼミは「思い込みの理由」に着目し、これを「半径3メートル以内の間違った常識」に落とし込みました。つまり「身近に置き換える作業」を代わりに行うことで来場者の知的好奇心や関心を誘いました。
参考文献:ハンス・ロスリング.FACTFULNES 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣.2019年
「Learning is Entertainment」とは何だったのか
ここまで紹介してきた3つはあくまで要素です。橋本ゼミが目指す学ぶ楽しさの一部に過ぎません。では大元の「Learning is Entertainment」とは何なのでしょうか。今回調べていく中で私たちは、自分たちの思う「かっこいい」を追求することがこのゼミのビジョンであり橋本ゼミの美学がLearning is Entertainmentに込められていると考えました。14年のCCの話で言えば、自分の能力が変わらないと考え、今を受け入れる人よりも、学習や経験を重ねることでいくらでも変われると考え、知的創造性を持った人のほうがかっこいいとおもうからその行動を取ろうとしています。19年のファクトフルネスを知ることで自分の感じていた世界の見方が変わる。このとき変わっているのは知見を得た自分自身です。このように学びを通して自分をデザインしていくその過程及び結果に対して「楽しい」や「おもしろい」と感じているのではないでしょうか。「学び=楽しい」の「=」の中には驚きや成長、実感など様々な刺激を経由しています。この感覚を一言に落とし込んだのがLearning is Entertainmentであると私たちは感じています。
まとめ
今回は各年度に対してより強く感じた「要素」に絞って見ていきました。ただ、一つの体験型ゲームに対して一つの要素だけがあるのではなく、いろんな楽しみが含まれて一つのゲームが完成しているのだと感じました。今回は3つの要素に絞ってしまいましたが、他にも学びが楽しくなる要素は数多く存在します。未だ橋本ゼミが扱えていない要素を見つけ、自分たちが来年度皆さんに学びが楽しくなるコンテンツを瑞木祭で提供するので楽しみにしていてください。
執筆:橋本ゼミ11期生 小野 佑樹 川口 隆史 原田 友翔