今日は、橋本ゼミ4期生の卒業論文発表会です。
今年の橋本ゼミでは、8名6論文となりました。簡単に概要をご紹介します。
目次
論文概要
池田 拓矢 「大学生が学内活動に参加する意味は何か? -オープンキャンパススタッフを事例として-」
石井 陽菜・富岡 旭 「変わりゆく働き方と組織の情報共有 ~橋本ゼミを事例として~」
小林 莉穂・須藤 和磨 「日本における男女の働き方 ジェンダーギャップ指数を題材にして」
中村 拓史 「社会人サッカーのフィールドワーク なぜ、社会人になっても、ストイックにサッカーに取り組むのか」
箕浦 祐貴 「長時間労働の現状と実態 ~なぜ長時間労働はなくならないのか~ 」
山北 桃香 「女性ファンが増えたことにより、プロ野球はどう変化したか? 2010年代の状況から」
池田 拓矢 「大学生が学内活動に参加する意味は何か? -オープンキャンパススタッフを事例として-」
昨今、PBLなどにおいて大学生が学びの一環として、学内活動に従事することが増えています。池田論文では、自身が活動を行った学内組織やそのメンバーをフィールドとして、大学生が学内活動に参加する「意味」について論じています。
ここで言う「意味」には、他者から投げかけられる意味、たとえば、「就活で役に立つとか、成長できるよ」に対して、メンバー自身がどう「意味付け」をしているのかに迫りました。そして、両者には合致する部分と、合致しない部分があること、そして、合致しない部分にこそ、筆者自身が問題意識を感じていた点の要因が推察されることを明らかにしています。
単純に、「成長するから」ではない大学生のリアルが、自身の長い経験に基づいた説得力で迫る論文です。
石井 陽菜 富岡 旭 「変わりゆく働き方と組織の情報共有 ~橋本ゼミを事例として~」
石井・富岡論文は、昨今の「働き方改革」など、新しい働き方に関する実践的な論文です。
ICTツールがどう働き方を変えるのかを調査した上で、現状のゼミ活動においてどう展開出来るのかを提案しています。過去、ゼミ活動の中でどのようなやりとりがあったのかを「すべて」洗い出し、分類し、その上であるべきコミュニケーションを提案しています。そして、フォーマルなコミュニケーションだけではなく、インフォーマルなコミュニケーションの重要性を指摘し、それを実現するための具体的な提案を行っています。
どうあるべきが上滑りしないように現状の丁寧な分析に基づいた実践的な論文となっています。
小林 莉穂 須藤 和磨 「日本における男女の働き方 ジェンダーギャップ指数を題材にして」
小林・須藤論文は、3年次に取り組んだ「産学チャレンジ」における問題意識を拡張した論文となっています。本論文では、ジェンダーギャップ指数に着目し、特に日本が世界と比べて遅れている項目について、企業事例を丹念に調べることなどを通じて考察しています。
本論文においては、男女のペアで取り組んでいるため、議論自体が男女の働き方において示唆的なものとなりました。最終的な結論は、誰かが努力することではなく、全員で少しずつ取り組んでいくことの重要性と実現の方法が述べられており、これから社会人になる人達の見方、ひとつの「常識」になるのではと感じます。
中村 拓史 「社会人サッカーのフィールドワーク なぜ、社会人になっても、ストイックにサッカーに取り組むのか」
中村論文は、「社会人サッカーチーム」に本気で取り組む社会人が、なぜストイックに取り組むのかについてフィールドワークを元に迫る論文です。趣味としてのサッカーの範囲を遥かに超えた義務や縛りがある中で、他に仕事を持っていて大変なはずの社会人がなぜ本気で取り組むのか?に迫っています。
インタビューや振る舞いからは、決してひとつには語りきれない彼等の理由が示されています。そして、なぜそういった様相となるのかについて、Jリーグからなるリーグ構造などを元に考察を行っています。
私自身ほとんど接点がない人達のことでしたので、読んでいて大変興味深い内容でありました。社会人サッカーには、希望と闇がありました。
箕浦 祐貴 「長時間労働の現状と実態 ~なぜ長時間労働はなくならないのか~ 」
箕浦論文は、長時間労働が問題であることは皆が指摘しているのに、なぜなくならないのか?という極めて素朴なギモンからスタートした論文です。
当然、このテーマを追求すれば膨大な先行研究が様々な分野から出ていますから、混乱の極地に達する訳です。もちろん、彼もです。その中で、「残業」に焦点を絞り、従業員側から見た残業と経営側から見た残業の意味の違いを調べることで、残業が合理的になるプロセスを考察しています。
素朴な疑問からなんとか形にするという知的根性を感じた論文です。
山北 桃香 「女性ファンが増えたことにより、プロ野球はどう変化したか? 2010年代の状況から」
山北論文は、プロ野球に女性ファンが増えたことによる変化について論じています。先行研究を元に、戦後すぐからの70年をスコープとして野球における女性ファンの位置づけを示した後、2010年代の変化について男女、年齢ともに多様な人達に意見を聞くことで変化を記述しています。自身がソフトバンクホークスの熱狂的なファンであるということと、それによる多様なネットワークを活かしています。
2010年代の女性ファンの楽しみ方を「自身をアイドル化する」と概念化し、その観点から各球団の取組を捉えなおし、女性の社会進出などと絡めながら考察しています。決して、「良いことばかり」ではない状況を記述しながら考察する所に、野球への愛を感じる論文となっています。
おわりに
卒業論文に当たっては多くの方々にご協力いただいた結果です。改めて御礼申し上げます。
4年間、いや教育期間16年の集大成として、自らの能力に自信を持ち、他方その限界も知りつつ、果敢に一つの成果に向けて取り組む姿は本当に頼もしい限りです。大きな刺激とエネルギーをもらいました。教員として、とても素晴らしい時間が過ごせました。
学生諸君に改めて感謝しています。
キャンパスの裏の大山は雪景色