目次
はじめに
こんにちは、橋本ゼミ6期の織田です。
今年も残り少なくなってまいりました。今月、『忘年会』という使い勝手の良い呼び名の飲み会は何回あったでしょうか。私は『温故知新』の四字熟語を格言に、今年『失敗した!』と思ったことは忘れてないように振り返り、来年は失敗を繰り返さないように入念に対策をしようと思い、12月を過ごしています。
さて、先日&HAND(アンドハンド)の実証実験に参加させて頂きました。
&HANDとはワークショップデザイナーのタキザワケイタ(@atiek_takizawa)さんたちの一般社団法人PLAYERSが考案したサービスで、LINE・大日本印刷・東京メトロの3社が共同で実験を行っているサービスです。
電車内で席に座りたい妊婦さんと席を譲ってくれる乗客の方を繋げるサービスで、LINEを利用しお互いに意思表示をすることができます。
今回は、&HANDの実証実験に参加して、普段の生活にどのような影響があったかを述べていきます。
席譲りに対する意識
&HANDはLINEを利用して自分の意思を示すことができるサービスです。妊婦さんはビーコンを携帯し、席を譲ってほしい時にスイッチをオンにします。すると、&HANDを友達追加しているLINEユーザーにメッセージが届き、妊婦さんと席を譲ってくれる人とがマッチングします。
席を譲る人は自分が今座っている席を入力し、妊婦さんは譲ってくれる人がどの車両のどの席にいるかを確認します。LINE上では妊婦さんと席を譲る乗客は直接的には結び付かず、&HANDのサービスを通してお互いに意志を示します。
普段電車に乗って席に座ると、ほとんどの方はまず始めにスマートフォンを見るかと思います。私もそのうちの1人です。自分自身、電車内で妊婦さんやご高齢者の方、体の不自由な方を見かけたときは席を譲ることが多いです。それは優先席に座っている時ではなく、普通の席に座っている時でも同じです。優先席に座る機会は少ないですが、優先席に座っている時と普通の席に座っている時とでは席譲りに対する意識は大きく異なります。
私は『席を譲る派』と述べましたが、席を譲りたいと思っても、その一言を伝えることが出来ないことが何度もあります。
ふと考えてみると、電車内という空間がそういったアクションにとても敏感であり、席を譲りづらい要因になっているのではと感じました。
電車内の緊張感
まず、電車という空間が特別であり、私が何かアクションを起こすと周りの人の目線が集まります。席を立ちあがって電車内の広告を見るだけでも注目され、席を譲ろうと思って身振りをしても注目されます。 これこそが緊張感!
電車の中以外にも席を譲る場面はあります。たとえば、ファミレスなどで待ち時間を外の椅子で待っている際、妊婦さんが立っているとします。私はこの場面では周りに人がいても、自分が一人だったとしても、気軽に『どうぞ座ってください』と声を掛けることができます。しかし、これが電車になると状況が一変するのです。
席を譲ろうとする際に、妊婦さんだと思うけれど外見では分かりづらい方や、善意で席を譲ろうと思って声を掛けても、逆に気分を悪くなさるご高齢者の方には声が掛けづらいです。『この方、妊婦さんかな…?』『席譲りましょうか?と声をかけてもいいかな…。』と思うことが何度かあり、そんな時に&HANDが利用できると、声に出すことなく意思表示ができ、『声をかけるのは若干恥ずかしいけど、席は譲ってあげたい!』と思う臆病者の私には便利なサービスです。
席を譲った人はヒーロー?それとも偽善者?
席を譲った直後には高揚感を感じます。それは『私がこの人に席を譲ったという自尊心』『この人は席に座ったことにより少しでも楽になったのかなという安堵』『席を座った人から感謝の言葉を言われて自分も幸せ』などがあります。席を譲った私はこのように感じていますが、私が席譲りをしたシーンを見ていた周りの人から、私はどう見えているでしょう。
「困っている人を助けたヒーロー」なのか「困った人を助けてヒーローを気取っている偽善者」か。席譲りをした後、一部の人から冷ややかな目線で見られているように感じることがあります。他人に良いことをしている様子を印象良く思わない方。その感情が具体的にどういった感情なのかは分かりませんが、そのように見られることは正直悲しいです。
逆に温かい目線で見られると先ほど書いた通り『自尊心』のような感情が湧いてきて、『また困っている人を見かけたら席を譲ろう』と思います。
思いやりの気持ちは自分が行動に示すことで、他人にも連鎖するものだと私は思います。誰かが優しく微笑んで、席を譲っている様子を見ると、それを見ている自分も幸せな気持ちになり、その人も『自分も見習って困っている人に席譲りをしよう。』と思うのではないでしょうか。
&HANDという思いやりのあるサービスを多くの人が認知することで、実際に席譲りをしているシーン見たときに『自分も見習って席を譲ろう』という意識がこれから広がって欲しく、電車内の空間において、席を譲る人の温かい感情はもちろん、それを見ている周りの人も温かい目で向き合うことは必要だと感じます。
まとめ
今回の実証実験を行うまでは電車に乗り、席に座ってからは下車する駅までずっとスマートフォンを見ていることが多くありました。しかし、最近は各駅に到着すると顔を上げて軽く周りを見渡すことを意識しています。
声を掛けなくても、視線を合わせて自分の意志を伝えることを現在は頑張っています。そういった部分で&HANDはスマートフォンを見ている人でも気付くことができ、目が届かない人にも意思を表示できるので実装される日が待ち遠しいです。
&HAND公式サイト(https://andhand.themedia.jp/)
執筆:橋本ゼミ6期生 織田法彦