キャリア教育について寄稿した論考が発売されました。
東北大学出版会より、『キャリア形成支援の方法論と実践』という本です。
amazon「キャリア形成支援の方法論と実践」
目次
担当部分
私は、【第三編 大学から社会への「移行」】の中で、
第14章 大学生と社会人が共にキャリアについて考える実践の課題とデザイン
という部分を担当しています。
こちらは、半日程度のワークショップやイベントなどにおいて、大学生と社会人が共に参加することのメリットと、そのメリットを活かすためにどのようにワークショップやイベントをデザインすれば良いのか?について論じています。
執筆の意図
大学生にとって社会人と話をすることは、それだけで貴重な機会となります。しかし、ただ一緒に話をすればよいかといえば、必ずしも上手くいかないことが多いのではないでしょうか。
たとえば、学生の前に出た途端、「良いことを言わなければと緊張してしまう社会人」というのは、数多く見てきました。
また、いつもはそうではないのに「やけに、素直に話を聞く大学生」も多く見てきました。
どちらも、自然な状態ではないと思います。
不自然な状態が「悪い」わけではありませんが、ある程度、意図しなければ「自然」な状態は作れないと考えます。その背景には、「社会人」や「大学生」といった役割を過剰に意識してしまうことがあると考えました。
そこで、本稿では、エドガー・シャインの「ワンアップ ワンダウン」(Schein 2009)を社会人・大学生が置かれる状況として想定し、ワークショップの第一人者である上田信行による「イタリアンミールモデル」(上田 2014)を用いながら、事例を作成した過程を論じています。
ワークショップをどう作っていったのかを解説することで、別の事例へと展開してもらうことを意図しています。なお、事例として紹介したのは、「面接ワークショップ」です。
本書では、他にも興味深い論考がいくつも載っています。キャリア教育に携わっていらっしゃる方に読んでいただければ大変うれしく思います。
執筆した本が発売になりました。
『キャリア形成支援の方法論と実践』
菅原良・松下慶太(@keitamatsu)・木村拓也・渡部昌平・神崎秀嗣 編著https://t.co/0ReNWTnDQN— 橋本 諭 (@satoshi_hashimo) 2017年12月1日
はじめにを転載
1.はじめに
本章では、筆者が開発した大学生と社会人が共にキャリアについて考えるワークショップ(面接ワークショップ)について、その開発の背景と意図およびデザイン手法を、具体的なワークショップ内容と合わせて解説する。
具体的な内容については、3点に分けて述べていく。
1点目は、利点と課題である。大学生と社会人が共にキャリアを考えるにあたっての利点や課題を先行研究のレビューを通じて概観する。2点目は、デザイン手法である。キャリア教育を行うにあたってのイベント(ワークショップ)の作成方法について、主にワークショップデザインの観点から解説する。3点目は事例紹介である。筆者が開発した「面接ワークショップ」について、前述の2点を踏まえ、具体的な作成手順等を述べながら解説する。
この3点から読者の方々が具体的なキャリア教育を行うための実践をデザインする一助となることを目指している。なお、本章における「社会人」とは主に若手社会人を対象とし、具体的には企業に入社後3年程度を想定している。