アイデアを出さなければと思っているが、煮詰まっている。
グループワークで話し合いを行っているが、何も意見がでない。
アイデアを考えるという活動は、日常の中にあります。よくやる話です。
ですが、うまくいかないことが多い。ほとんどと言ってもいいかもしれません。
最近では、仕事だけではなく、大学生などもアイデアを出すことが求められています。
授業におけるグループワークなどです。
「3人よれば文殊の知恵」と言われますが、実際にはみんなで顔を合わせて「うんうん唸っているだけ」とか「ひとりが永遠と自説を述べている」とかいうツライケースも散見されます。
ただ、力技で考えて、考えて、考え抜くということもあるかとは思うのですが、今あるやり方をブラッシュアップするというのは、案外行われていないことではないかと思います。切れ味が悪いなら、包丁を研ごうという話です。
今日紹介する本は、アイデアを出すための方法をこれでもかと集めた一冊です。
「0から1へ」と「1〜複数へ」という大きく2つに分かれたパートになっており、全部で42種類の発想のためのツールが紹介されています。
42種類です。大量です。
ちなみに、買うと得点としてWeb上で見られる43個目がプレゼントされます。
例えば、トヨタのWhyを5回繰り返すという「なぜなぜ分析」や、オズボーンのチェックリストなどがよく知られているだろうツールも紹介されています。それ以外にも、カイヨワの<対角線の科学>なども紹介されています。そう、「遊びと人間」のカイヨワです。
本書の特徴は、42種類というツールの豊富さにもありますが、びっくりするのはツールがただ紹介されているだけではないということです。それを使った過去の偉人(巨人の肩に乗る)の紹介もされています。少し長いですが、抜粋しながら引用します。
本書は実用書であると同時に人文書でもある
本書は、<新しい考え>を生み出す方法を集めた道具箱であり、発想法と呼ばれるテクニックが人の知的営為の中でどんな位置を占めるかを示した案内書である。「中略」
たとえば哲学は当たり前を疑い、我々が知ることや考える事の前提を問い直す。歴史学は人々が忘れた過去を掘り起こし、かつての人々や社会の有様を現在と突き合わせ、我々が歴史のどこにいてどちらへ進んでいるのかを省みさせる。
これまでにない新しい考え(アイデア)を必要としている人は、できるのはわずかであったとしても現状を、大げさに言えば世界を変える必要に迫られている。そのために世界に対する自身のアプローチを変える必要にも直面している。
この場合、必要なのは、ただ<どのようにすべきか>についての手順だけではなく、そのやり方が<どこに位置付けられ、何に向かっているのか>を教える案内図だろう。
それゆえに本書は発想法(アイデアを生む方法)のノウハウだけでなく、その底にある心理プロセスや、方法が生まれてきた歴史あるいは思想的背景にまで踏み込んでいる。P2-P3
こういった本のため、以下のような記述があります。
懸念や不安に留まらず書き続けよ、というゴールドバーグの方法は(ノンストップ・ライティングP42)、シュルレアリストたちの自動書記法と呼応するだけでなく、人類学者レヴィ=ストロースの執筆手法でもある
さくっとツールだけ知るという方法もありますし、その背景を読むのも面白い。
気にあった所を読むのも良いですし、パラパラと背景となった思想を見ているのも面白いです。
知らないツールを知れば、武器が増えますし、背景を知ることでツールの奥深さもわかるのではないでしょうか。きっと、アイデアの切れ味のブラッシュアップにつながると思います。