バッタを倒しにアフリカへを読んだら、がぜん元気が出てきた話

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 今日は、月曜日。また、一週間が始まるのか? と憂鬱な気持ちでスタートした人もいるかもしれません。そんな気持ちをクスッとした笑いでぶっ飛ばしてくれそうな本を紹介します。

 タイトルは、「バッタを倒しにアフリカへ」。前野ウルド浩太郎さんの著書です。神戸大学で博士号を取っている昆虫学者、バッタ博士です。本書は、バッタ博士がアフリカ、モーリタニアで行ったフィールドワークが中心です。

 「あっ、研究書か?」と思われた皆さん、ご安心ください。違いますし、もう抜群に面白いですから。

 私が思った面白さは2点。
 一つは、体験の面白さ。

 著者の研究は、大量発生により飢饉を発生させてしまうバッタの研究です。その生態を明らかにするためにアフリカにフィールドワークに行くのですが、本書の8割の部分はバッタに会えません。砂漠をさまよったり、サソリに刺されたり、袖の下としてヤギを送ったり、研究費を獲得するために奔走したり。

 著者は、1980年生まれ。博士号を持った若手研究者がどんな生活を送っているのかがリアルにわかります。ちょっと、いやかなり特殊ではあると思いますが。

 もう1つは、文体です。
 リズムの良い文章の中に、チラチラっと混じってくる本旨とはズレた話が絶妙にマッチしています。

 この方、往年の「テキストサイト」とか読んでいたのではないかな?

 あの時代のインターネットの文章の面白さを感じました。この文体があるからこそ、単純に読み物として面白いです。

 私の研究分野は社会科学。著者の自然科学とは違います。それでも、研究を進めるということは、恵まれたことであるし、何より楽しいことなのだ、ということを再確認しました。私自身、やるべきことの多さと、自分の至らなさに、恥ずかしながら、一人勝手に不幸を背負ったような気になっていたのです。

しかしながら、この幸せな時間を私だけの思い出にしておいては、人類から妬まれる恐れがある。少しでも幸せをおすそ分けしなければ。そう、論文という形で。

もう迷うことはない。バッタの研究をしていこう。研究ができるということは、こんなにも幸せなことだったのか。研究するのが当たり前になっていたが、失いそうになって、初めて幸せなことだと気づいた

 もちろん、研究者向けの本ではないので、働く人達みんなに読んでほしいと思います。これから仕事に向かう電車の中にいる人、面接に向かう前の就活生、クレーム対応のために取引先に向かっている人、きっと少し元気になると思います。

 バッタを倒しにアフリカへ

追記:
著者Webサイト http://d.hatena.ne.jp/otokomaeno/
Twitter:https://twitter.com/otokomaeno175

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