面接ワークショップなどを通じて、面接について見ていると、特に学生さんの陥りやすい罠のようなものに出くわします。それは、自分がやってきた事を「盛って」しまい、結局何をしてきたのかわからなくなるようなケースです。
その罠というのは、「これまで頑張ってきた事はなんですか?」という質問に対して、以下のような回答が出てくると陥っていることが多そうです。
うちのゼミでは、
うちの学校では、
私がいるサークルでは、
というものです。社会人の場合では、うちの会社とか、部署とかがあたります。
つまり、「うちのゼミでは、○○をやってきた」という話です。回答者は、○○がすごければすごいほど、良いと思っているようです。
しかし、質問に戻って考えてみると、大切なことが答えられていません。その人が何をしたのかが全くわからないのです。他の例にしてみるとわかりやすいでしょう。
例えば、「私の学校の野球部は甲子園に出ました」と言っても、レギュラーとして試合に出た人と控えの選手では違います。仮にレギュラーとして出ていたとしても、これだけの回答ではわかりません。少なくとも、「私は、野球部に所属していて甲子園に出場し、2試合先発で出場しました」位は話さなければわかりません。
そこに、話を盛り始めると訳がわからなくなります。地区大会レベルだったのを甲子園に、補欠だったのをレギュラーに、はたまた帰宅部なのに野球部にしてみたり(ってのは流石にないですよね)
繰り返すと、こういった質問への答えには、何をしてきたのかというWhatの部分の良し悪しが重要だという前提があります。しかし、少なくとも複数名の採用担当者にヒアリングをしてきた結果から言えば、そうではありません。むしろ、ある分野に対して、どのように取り組んできたのか? というHowの部分を聞いている事が多いのです。
つまり、甲子園に出たことよりも、甲子園に出るためにどう考えてきたのか? そしてどのように取り組んできたのかを聞いているというケースが多いです。先の例に戻れば、ゼミで○○をやってきたということよりは、ゼミで○○をやっている中で「あなたは」何をやり、何を考え、どのように取り組んできたのかを求めているわけです。
そのため少なくとも主語は、「私」が入る必要があります。ゼミ等の話をするのであれば、ゼミの話をあっさりした上で、「私」にする事が大切です。
このように考えてみると、冒頭の「それで、あなたは何をやったのですか?」という質問が来たとすれば、質問への回答というコミュニケーションとしても、マズい状況だと言えそうです。
「これまで、(あなたが)頑張ってきた事はなんですか?」
PS:一連のこの話題ですが、学生向けに書いていますが、事例として聞いた例では、残念な転職希望者、起業志望者にも多いそうです。