2014年9月13日(土)、私達は産業能率大学自由が丘キャンパスにて、ソーシャルリーディングフェス(読書会)を開催しました。
今回課題図書としたのはトニー・ワグナー著「未来のイノベーターはどう育つのか」です。本書は学校の教育制度、家庭、大学教授、など様々な視点から、イノベーターを育てるための要因を探っていく内容であり、私達は他大学の人や社会人を交えて議論がしたいと考えました。
本読書会は橋本ゼミの3年生を主体とし、新しくゼミに加入した2年生、本企画に興味を持ちご参加戴いた4年生と、3学年が合同となって企画・運営を行いました。同時に参加者は夏休み中に書籍を読み込み、メンバー全員が討議に参加しました。
目次
形式
私たちが今回行った読書会は、主に2つのことを意識しながら企画をしました。
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- ワールドカフェの導入
外部からご参加戴いた皆様と多く意見交換ができるように、席替えを繰り返しながら議論を重ねるワールドカフェ方式を取り入れています。
5つテーブルを設け、それぞれ別のテーマをテーブルに設定します。一つのテーブルで討議したら、一人を残して別のテーマのテーブルへ席替えし、議論を繰り返します。複数のテーブルで話し合いを行ったら、最後に初めのテーブルに戻り、他のテーマの話を繋げて新しい知見を生み出すというスタイルです。
アウトプットには、各テーブルにマジックやボールペン、ポストイット、模造紙を配置し自由に書き込んで戴きました。
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- OSTの導入
本書の内容から広く興味や関心を募り、自分の経験や知識を多く語って戴きたいと考えました。そこで、討議のテーマは私達から例示はしましたが、ゲストの皆様と共に話し合いたいテーマを考え決めました。枠は用意し、その中身は参加者が決めていくというOSTの要素を取り入れました。
以上の2つを組み合わせ、参加者が本の内容をすべて把握していなくても自分の視点で討議に参加できるという、自由度が高くフラットで話しやすい空間を作ることを意識しました。
※アイスブレイクに使うお菓子の準備。一袋に4つ同じお菓子が入っていて、それをチームメンバーとシェアする。分け合うことで、生まれる会話を楽しんでもらいたいという気持ちから考えました。
討議内容
主に話し合われたテーマと内容は、以下の5つです。
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- イノベーターになる必要性
一見、読書会のテーマとは逆説的に感じるかもしれませんが、全員がイノベーターという企業をつくるのはとても困難に思えます。果たして、本当に現在の学生はイノベーターになる必要性があるのか。求められているイノベーター像などについて話し合いました。
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- あなたは今、イノベーターですか?
ずばり、あなたは今イノベーターであるという自覚はあるか。それに留まらず、過去に自分がイノベーターだな、と感じた出来事や、これから何をすればイノベーターとなれるのか、など、自らの意識に関する話し合いを中心に行いました。また、いつから人はイノベーターではなくなるのか?といった年齢の問題も挙がりました。
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- イノベーターという人は、結果を出した人なのか?
世の中ではイノベーター=結果や功績を残した人が広く知れ渡っていますが、それを根底から考えました。イノベーターとは結果を残さなければならないのか、どのような規模での結果なのか、といった結果論やイノベーターに必要な条件について議論しました。
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- 日常の中で発想力が研ぎ澄まされる瞬間
発想力はイノベーターにとってとても欠かせない能力です。世のイノベーターを参考にしたり、自分の幼少時代の遊びなどを振り返ることで、自分がどのような場面でアイデアを思いつきやすいのかを考えました。また思いつきとひらめきの違いについて、研ぎ澄まされるということの定義などについての議論が上がりました。
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- 型破りな大学教授とは
本書では人生を大きく変えるほどの大学教授との出会いがイノベーターの創出につながるという風に述べています。それを基に、型破りな大学教授とはどんな人なのか、教授に求められる能力、等を先生の視点と学生の意見を交えて話し合いました。
読書会を実施して
この本と読書会を通じて、イノベーターというものを一人一人が定義し直し、深く考えることができたのではないかと思います。「誰でもイノベーターになれる可能性がある」、「不可能を可能にした人がイノベーターである」といった考えをそれぞれが持ち、お互いが触発されて新しい考えが生まれる、という印象でした。
話し合う時間も1テーマ30分程で行いましたが、まだまだ話したいという雰囲気が感じられました。とても刺激的でにぎやかな話し合いの場であったと思います。また、他大学の学生、教員、社会人の皆様にご参加戴いたことで、様々な視点から討論を行うことができました。
イノベーターの定義や型破りな大学教授等について、明確な答えは見つからなかったかもしれません。私達の頭の中にもモヤモヤしたものが残っています。恐らくまだまだ議論の余地があるという証拠だと思います。本を読むことで論点を見つけ、それを他人と共有し考察を深め、更なる論点を持って帰ることができるのが、読書会の良い所だと感じました。
今回の読書会は、橋本ゼミにとって小さなイノベーションを起こしたのではないかと思います。読書会は初の試みであり、どれ程の人数が集まって戴けるのか、うまく場をファシリテートできるのか、とても不安でした。しかし、文頭に述べた3学年合同ということで、4年生のリード・3年生の行動力・2年生のサポートが相まって、当日は大きな問題もなく運営ができました。とはいえ、準備段階ではかなり切羽詰まっていた部分が大きいため、反省も多く残りました。
ご参加戴いた方の中で「次回の予定はありますか?」と尋ねて下さった方がいらっしゃいました。今回経験した成功や失敗を生かしリベンジがしたい、そしてもう一度ご参加戴いた皆様とお話がしたい、という思いが私たちの中に強く残りました。是非、2回目の読書会も企画させて戴きたく思います。また、これをきっかけに外部の読書会にも橋本ゼミ生で参加していきたいと思います。
他大学の皆様、企業の皆様、お忙しい中お集まり戴き厚く感謝申し上げます。誠に有り難うございました。
関連リンク
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