モノによる対話の創出を目指して 第三の従業員としてのメニュー表

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プリント
地ものMAP

はじめに

このプロジェクトは、神奈川県の伊勢原駅から徒歩1分の場所にある「地もの御馳走処 GEN」という飲食店さんとのコラボレーション企画です。オーナーの丸山さんが厳選してこだわった地もの食材を使った料理や地酒を提供しているアットホームで居心地が良く、どこか懐かしい雰囲気が漂うお店です。昼間はランチ営業もしています。昨年度の活動では「玉子焼き、ポトフ、大山豆腐、とん漬け」という地もの商品について紹介する動画、ポスターなどを作成しました。
今年度の活動として、私たちはGENさんのある点に着目をしました。それは、夫婦お2人で営業している時にお客様がたくさん来店され混雑した場合、料理提供に追われてGENさんの良さでもあるお客様との「対話」が生まれにくくなるという点です。そこで私たちはその「対話」のきっかけとなるツールを作ることで3人目の従業員として貢献できるのではないかと考え、「第三の従業員」をコンセプトに「対話」の生まれやすいメニュー表作りに取り組みました。

1.活動の意図・意義

「第三の従業員」をコンセプトとして料理と共にストーリーも味わってもらうために、お店の雰囲気に合った、親しみやすい、またわかりやすいメニューを作ることで、お客様とのコミュニケーションをとることが目的・意図です。

なぜメニューを作るのか、GENというお店は店名に「地もの」を使用している通り、地ものを使用した料理を提供しています。メニューやお店自体にも地ものの良さが伝わるよう、地ものを推し出しています。今回私たちは、より地ものを推し出しつつGENさんの料理をお客様に紹介できるのかを考え、写真を付け加え、地もの、その料理の良さをもっと紹介できればお客様もより味わって食べることができるのではないか、という結論が出ました。味や料理のこだわりをお客様に伝えるツールはまずメニュー表だということで、自分たちはメニュー作りを始めました。また、GENさんが忙しい時間にその料理の良さなどをオーナーや奥さんと直接話して知れないときなどにそのメニューが3人目の従業員となりお客様に紹介できればいいと思っています。

お客様に料理・食材の良さやおいしさだけでなく良い食材を選んだ結果、いわゆる「地もの」に行きついたことや、その食材の産地の環境の良さを少しでも伝えることができれば、地元の人に今までよりもGENさんと伊勢原という町に愛着を持ってもらえるのではないか、そう感じてくれる人がいればいいなと、思っています。伊勢原という町のことを思って始めた訳ではありませんが、結果的に伊勢原を味わえるお店であることを感じ取ってもらえるようなメニューを作りたいです。

2.今までの活動報告

私たちは今回、昨年、先輩方が行った活動をPOPという形で学園祭にて展示しました。

スライド1

?先輩方が行っていたPJ GENの活動内容の把握
「GENさんのメニューを紹介するコンテンツを作成する」というのが、昨年の先輩方のコンセプトで、生産者の方々にインタビュー取材を行い、その内容を基にした動画コンテンツとポスターを作成するというものでした。取り上げたメニューは、亀井畜産 ハーブポークを使ったとん漬け、ふんわり厚焼き玉子、大山“湧水工房“竹寄せ豆腐、こだわりの塩豚ポトフの4つです。

?誰がどのメニューのPOPを作成するかの分担
各自で分担することで、時間がない中で効率よく作業ができました。またそれぞれ調べた情報を3人で共有することで自分が調べたもの意外にもどんな活動をしてきたかを知れて、今後の自分たちの活動の参考にもなりました。特にインタビューを積極的に行い情報収集を怠らないという点を学びました。メニュー表も実際に足を運んで味を知らなければ料理の良さをメニュー表に表せないと実感しました。

?動画、ポスターを作成した先輩にインタビュー
インタビュー内容は動画とポスターを作成する際の注意点または工夫点を先輩方に各自聞きました。インタビューの仕方に関しては、相手から何を引き出そうとしているのか、という点などそれぞれがしっかりとコンセプトを決めてインタビューしていると感じました。

?それを基にPOP作成し、学園祭で展示
実際に作成したPOPを展示しました。POPの配置なども自分たちなりに考えて、来場者の目を引けるよう努力しました。アンケートでの「素人っぽい」という回答に関しては、今後のメニュー作りでそのようなことを言われない、または思わせないようなクオリティにしなければいけないと感じ、危機感を覚えました。この危機感をうまく利用していいメニュー表作りに活かしたいです。

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学祭で展示したPOPと配置

?実施した内容の紹介?

瑞木祭当日にGENのブースを設けてもらい、ポスター・Youtubeにアップした動画、自分たちの作成したPOPを見やすい形で配置しました。当日は教室にあまり人が来なかったことや、教室のレイアウトなどの関係もあって、あまり来客に見てもらえなかった点もありますが、見た人のコメントに「初心者っぽい、素人っぽい」と言われました。メニュー作りをする上で大学生が作ったのだから、これくらいだろうと思われないように自分たちのアイデアを最大限に生かした形でつくらなければならないので、一番改善すべき点だと思いました。自分たちなりの工夫を凝らして観た人の興味を惹けて見やすいレイアウトで、伊勢原にはこのような美味しい食材があるのだということを伝えられるようなメニュー表を作りたいです。

3.自作メニューについて

メニュー作りは13年10月の活動始動からずっと行ってきました。最初は写真を付けてどのように配置するかなどで議論していましたが、今のままでは誰でも作れるものが完成すると思いました。産業能率大学の橋本ゼミの私たちにしかできないメニュー表を作らなければ、私たちがメニュー表を作る必要がないと考えました。そこで1からやり直し、GENさんの推すべき点だと考えた「地もの」をもっとみんなに知ってもらえるよう、地ものだけのメニューを作りました。それは、「どこから仕入れているのか・そこはどこか・何が特徴で仕入れているか」が一目ですぐわかるように地図を使って作成することにしました。またGENさんの店内の様子を色で表すと「黒・茶色」がベースとなっているので、メニューもその2色をベースに「GENっぽさ」を出していきたいです。自分たちが作ったメニューをいかにしてお店に置いてもらうか、どこまでお店に馴染めるかという点でレイアウトを試行錯誤しながら形を作りました。最終的にこのような形に仕上がりました。

私たちは通常のグランドメニューに加えて、GENと伊勢原にまつわる情報を盛り込んだ「地ものMAP」を作成しました。地ものMAPのポイントは大きく分けて3つあります。

1つ目は、GENさんが使用している地物食材の紹介です。卵は安達養鶏、ハーブポークの亀井畜産、湧水工房の大山豆腐の3つの場所を地図上に表しました。そして、それぞれの食材ごとに色を分けて「地物マーク」を作りました。

2つ目は、その地物マークをグランドメニューにも掲載し、MAPと照らし合わせてみることができるようにしました。例えば、安達養鶏の卵を使った玉子焼きや卵かけごはんの写真の上に地物マークを掲載することで玉子焼きは地物の卵で作られているのだというのが一目でわかるようにしました。このように他の料理にも地物マークを付けて、MAPとリンクさせ、地物を使っているということをよりわかりやすく表しました。

3つ目は、伊勢原市の豆知識をMAPの上部に掲載しました。伊勢原の名前の由来や美味しい地物食材が作り出される伊勢原の大地についてなどの情報を記載することで、伊勢原の良さをわかってもらえるように工夫しました。

次にグランドメニューについてです。元々GENさんに置いてあったメニューの分類分けをそのままにしました。理由はジャンルごとに分かれていたので、変える必要がないと感じたからです。メニューには極力ほぼ全ての料理に写真を掲載し、見やすく、どのような料理か一目でわかるようにしました。また、各ページにコラムを設けてメニューを通してお客様同士の対話を生むきっかけを随所に散りばめました。

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4.活動から何を学んでいるのか

昨年の文化祭で展示したPOPに対するアンケートに「デザインが素人っぽい」という意見が寄せられました。それを受けて、自分たちにはプロのような技術があるわけではないので、技術面ではなく趣向を凝らしたアイデア、工夫を盛り込み、お店の雰囲気やイメージを自分たちのメニューでより引き立たせることができるメニューを作ろうと考えました。
私たちの色を出しつつそのお店の色も出さなければならないという点で、難しいですが飲食店におけるコンテンツマーケティングを現場で実践しながら学べています。一つのコンテンツを自分たちで作り上げることで、お店のどこに着眼しそれをどのように引き出すかなどを学べ、将来そのような仕事をした時にその経験が役立つと考えています。

担当

4年 吉田 3年 金子 野川 高橋
執筆 3年 金子 野川 高橋

プロジェクト紹介ページ

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